古典ノススメ 書評

【古典ノススメ】「芋虫」江戸川乱歩 ~めくるめく背徳の美~

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江戸川乱歩

こんにちは岩田タクです。

今回は私の好きな江戸川乱歩の本を紹介したいと思います。



ポイント1:「芋虫」は読みやすい短編

 

「芋虫」は30ページ程の短編です。

仮名遣いも現代とそんなに変わりなく、読みやすい部類かと思います。

また、現在では文庫本も多数出ていますし、図書館で借りることもできます。

もちろんKindleもあります。

読もうと思えばすぐに手に入ります。

個人的には江戸川乱歩を「古典」として紹介するのには若干の抵抗があるのですけれども。

だってそこまで古い話じゃないと思うんですよね。

でも、岩波文庫で発売されると、「ああ、古くなったんだな」って思ってしまいます。

 

ポイント2:江戸川乱歩ワールド炸裂!

 

この作品の内容というのがまた非常に背徳的です。

中身は読んでもらえば分かるのですが、良くこんなこと思いつくなって感じの話です。

江戸川乱歩の作風はよく「エロ、グロ、ナンセンス」なんて例えられますけれど、この作品もしっかりとその路線に乗っています。

 

と、ここまで読んで「グロいのは無理」と思われた方。

ちょっと言い訳を聞いてください。

私が思うに江戸川乱歩の「グロ」は直接的なグロではないのです。

テレビの規制が強まる昨今、その反動とでも言うようにゲームやオンラインノベルなどの公の規制を受けにくいところではよりリアルなグロも出てきています。

 

しかし、こんな名言があります。

(以下引用)

恐怖というものには鮮度があるのです。

(引用終わり)

出典:Fate Zero、キャスター

ポイント3:「芋虫」はただ気持ちが悪いだけではない

 

直接的なグロ描写は、なるほど初めに出てきたときにはもの凄いインパクトがあります。

現代の平和で安全な社会に生きているからこそ、創作の中での暴力や陵辱のギャップに驚き、興奮や好奇心を覚えるのではないでしょうか?

しかし、人間の脳は刺激に慣れてしまいます。

一定の時間が過ぎれば、または同じような刺激が続けばそれに慣れて初めに感じた程の興奮はありません。

 

では毎回新鮮な驚きを得るにはどうすれば良いか?

その対策の一つは「我々の持つ想像力」ではないでしょうか?

もっと言えば「妄想力」でしょうか。

 

直接的な表現ばかりだと脳が慣れてしまいます。

そうではなく間接的な表現で常に受け手側が想像、妄想をする状態にもっていく

想像、妄想に果てはありません。

受け手側のポテンシャル如何でその興奮は無限にも続きます。

 

そこを上手くかき立てるのが(ホラーに限らず)、「良い文学作品」なのではないでしょうか?

 

「芋虫」に戻れば、この作品も読み手の想像をかき立てられるものです。

読み進めていくうちにタイトルの意味が明らかになり、さらにはその奥に潜む登場人物の深い業を知ることになります。

短い短編ではありますが、その中で読む側は常に想像し、己の頭が作り出す新鮮な驚きに恐怖し続けるのです。

 

少々大げさとも思われるかもしれませんが、このようなことを「文体」や「構成」等の理屈抜きでやってのけるのが江戸川乱歩という作家です。

好きな人はやみつきになります。

私もその一人です。

興味を持たれましたら是非御一読を。

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