書評

【書評】公開法廷―1億人の陪審員―(一田和樹)

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公開法廷

こんにちは岩田タクです。

今日は久しぶりに現代文学作品の書評です。



紹介するのは『公開法廷―1億人の陪審員―』。以前も紹介した一田和樹さんの本です。

(【書評】ウルトラハッピーディストピアジャパン~人工知能ハビタのやさしい侵略)

“ネットの普及により国民全員が陪審員になった”世界の話です。

 

ポイント1:作者の専門性が高い

 

何の専門性かというと、IT関係の専門性です。

『【書評】ウルトラハッピーディストピアジャパン~人工知能ハビタのやさしい侵略』の記事でも書いたとおり作者の一田和樹さんは元IT企業の常務取締役。

この人の書く小説には細かいところまでその知識が生かされています。

 

『ネットの普及によって国民全員が陪審員になる』という突拍子もない設定ですが、作者のITに関する深い知識によって説得力があります。

また、一田和樹氏は『犯罪「事前」捜査』という実際に世界起きているサイバー犯罪についての本も書いています。

土台となる知識が多く、読み応えは十分かと思います。

ポイント2:数の暴力

 

少しだけ物語の話をします。

このお話の世界ではネットを通して日本国民一人一人が実際に起きた事件の陪審員になります。

といっても個人が犯罪の捜査をするのではありません。

 

3人の検事の陳述を聞いて一番真相に近いと思われる検事に対して投票をし、票の一番多い検事の主張の通りに裁判が進むというシステムになっています。

3人の検事の中にはずばり事件の犯人を言い当てている人もいれば、間違って検挙している人もいるかもしれません。

ともすれば3人とも間違っている可能性すらあります。

 

でもそれを選ぶのです。

そしてどの検事が選ばれるのかはその検事の成績にもよりますが、要は人気で決まります。

 

なんだか現在のSNSと似ているのではないでしょうか?

人気のあるユーザーが数の暴力で自分の主張を通す。

または人気を得た一握りの人がお金を儲ける。

もしくはあえて炎上させて一時的に人気を得て、話題に上る。

この本ではその仕組みを司法の場に取り込んでいます。

 

なかなか思い切った設定だと思います。

物語がどのように進んでいくのかももちろん気になるところですが、個人的にはもし実際にそのような世の中になったらいったいどうなるのか?

と、そんなことを考えるのもまた面白かったです。

ポイント3:それに加えてのミステリー

 

さらに、この本はミステリー要素も含んでいます。

前の記事にも書きましたが、ジャンルで言えば「サイバーミステリ」になります。

大胆で現実離れした、だけどとてもリアリティーのある設定。

その中で起こる事件。

近い未来に実際にこんなことが起きるのではないかと錯覚してしまいます。

(もしかすると本当にそうなるかもしれません)

 

まとめ

 

いかがでしたか。

IT関係に疎い私でも楽しんで読むことができました。

フィクションでありながら読んでいて勉強になるし、考えさせられます。

テクノロジーは日進月歩。

現在では思いもよらない絵空事が、実現される日が来るかもしれません。

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